「楓、私になんか用だった?」
帰り道。
「あー、うん。」
「ごめんね~。後で行こうと思ってたんだけど、忙しくて。」
でしょうね。
「大丈夫。解決したから。」
「何だったの?珍しいじゃん。楓から来るなんて。」
そりゃあ、入りづらい雰囲気なんですもの。あなたのとこ。
「あ、大したことじゃないんだけど、…」
「そっか~。貴子ちゃん次の曲に。早いね!」
「私の後輩も早く進んでほしい。」
「なんかそれ聞いたら焦る。」
「真弓のとこはどこまで進んだ?」
話は尽きない。
別れ道で立ち止まって長話することも恒例になった。
放課後の音楽室でも。
それもそのはず、去年まで一緒に練習していたメンバーが部活の間、バラバラで練習しているのだ。
最近、別な種類の寂しさがつのるような気がするのもこのせいなんだろうな。
人はいっぱいいるのに、一人のような気がする。



