「はい、では初めまーす。」
「お願いしまーす。」
私の口調につられて1年がおずおずとやや間の抜けた返事を返す。
最初だから、緊張もしているらしい。
それを見た私は苦笑しつつ
「えーと、まずこれからね。最初はあまり難しくないから。」
1拍が132のややアップテンポな曲で、♭も3つついている。
しかし、♭3つはフルートではよくあるし、テンポが速い分、ロングトーンも短くなる。
「ところで、曲を始める前に二人とも譜面は読める?」
私の経験によると、音楽の授業での知識だけでは最初はけっこう苦労する。
それすら怪しいなら、かなりまずい。
私の質問が曖昧だったのか、自信がないのか2人は顔を見合わせてしばし固まった。
あれ?
「え~と、じゃあ記号チェックしようかな。」
実力がいまいちわからない私は基本的な所からせめた。
「この記号は?」
譜面の一番最初の休符を指す。
「えっと…休みのマークだったかな?」
「…8分休符…」
洋子ちゃんが自信なさげに言い、藍理ちゃんが控えめに答える。
いきなりちょっと難しかったか?
「そう、当たり。8分休符で半拍休むことね。半拍は…」
それから、いろいろ記号を指しては答えさせ、その答えに補足や説明、リズムを刻んだりする。
フォルテやスラー、♭などはこの際後回しにした。
しばらくそれを繰り返すと、だんだん記号の意味や長さが飲み込めてきたようだ。
が、
「じゃあ、ここからここまで吹いてみて。」
「え?」



