「明日から曲練習に入ってくれ。
みんなで、できるだけ後輩について指導してくれよ。
なんせ、曲できるやつは15人しかいないんだから。

あと、ユンフォとか先輩がいない楽器は…」

後輩達を帰した後、先生が指導する担当楽器を決めていったり、詳しい話を詰めて私達は解散した。

実際、大変なところは、担当者のいない金管楽器や様々な種類があるパーカス、人数が多いクラなどで、私は特に話などなく暇だった。



翌日。

 さて!今日から曲練習だ。

 いや、指導が先か。

 待てよ…。私、ピッコロで吹くのは初めてだから…やっぱ自分の曲練習もやんなきゃ!

 あ~でも。

部活に来ると周りは後輩もみんな曲を練習している。

 同時進行できるかな?

考えてみれば、本格的な曲指導って初めてだ。

 3年になって、頼れる先輩もなく、同じ楽器の同級生もいない。

 頼れるのは自分だけ。

 そして、私がみんなを支え、育てないといけないんだ。


「こわっ」

「何が?」

「え?」

いつの間にか茜が後ろを歩いてる。

「いや、後輩に上手く指導できるかなとかさ。」

「あ~そうだよね。私もちょー不安。
でも、楽しそうじゃん?先輩達みたいにバチ持って教えたりするの。」

「あはは!バチとか懐かしい。
でも、私まだ自分の曲も今からだからさ~。」

「え?!そっか~、そうだよね。なんか手伝えることあったら呼んでよ。」

「いや、無理だろ。誰より忙しい部長を呼ぶのは。」

「う~ん…。そうかも。ま、なんとかなるよ。」

「そだね。」


結局、深くは考えない私達だった。