もしかしたら、パーカスや弦バスの叩いたり弾いたりするものの方がいいのかも…。

音楽室に戻って、相変わらず音の出ないマウスピースと格闘している彼女を見て、考える。

 でも、もしかしたら、どちらも向いてないかもな~。

彼女は華奢で細くて小さい。いかにも力が無さそうだ。

 肺活量が極端に少ないんだろうな…。

 運動は出来るんだろうか?

そんなことにまで考えが及ぶ。

とにかく、それほどまでに出来ないのだ。

 初めて見た。こんな長い時間フルートで音が出ない人。

だいたいの人はみんなしばらく吹けば微かにでも音は出るものなのだ。

なのに彼女は…

 あんなに苦しそうに頑張っているのに音が出ない…。

そのうち、部活の時間も終わってしまった。

「音出たか?」

先生が再び顔を出す。

「う~ん。音らしいものは少し出たような…」

 でもあれは口の音なのか…?

「さっきやったばかりだからな、もう少し続けてていいぞ。」

「はい。」

「…他の楽器にかえても構わんが、本当にフルートでいいのか?」

私も彼女を見て頷く。

「いえ。フルートがいいです!」

「そうか。」


 ちょっとびっくりした。そんなに憧れてたのかな?