だが、

ふー、ふー、ふー

先生が色々アドバイスするが、一向に鳴る様子がない。

 え?フルートの方がいいってさっき先生言わなかった?

これは全然向いてない感じなのだが…

戸惑い気味に先生を見る。

「ちょっとそのまま練習しててくれ。
楓ちょっといいか?」

 ?

私は音楽準備室に呼び出された。

「実はなあの子、最初からフルート希望ではあったんだが、友達はみんな別の楽器に入って、まあ、だいたいクラリネットに入ったんだが。一応あの子も色々試してみたんだが、どれも見込みが無くてな…」

 あぁ、なるほど。それであの言葉ね。

「本人はやる気だし、フルートならまだなんとかなるかな…と。本人の希望でもあるしな。」

 まぁ、フルートは今でも人数的には十分だし、変な音でても一番目立ちにくいしね。

「指導するの大変かもしれないが、彼女のことはのんびりでかもいいから面倒見てくれるか?」

「はい、まぁそういうことでいいんなら。」

 他の子と同じレベルまで上げてほしいと言うなら難しいけど。

 でも彼女自身は大丈夫なのかな?
一緒に練習してればイヤでも他の子との差がわかってしまうだろうに。

 あれでは佳子ちゃんよりも大変だぞ。

その旨を先生に話すと、

「うん、今後もマウスピースで音がまったく出ないようなら考えてみるよ。でも、続けるかどうかは本人に任せよう。」