次の演奏会はしばらく無かった。
先生が忙しくなったらしい。
五月に入る直線で、やっとやることになった。場所は内階段がわのオープンスペース。
前回の2回と違い、あらかじめ生徒が座っていて、足元まで近くに詰めている。
近い…!
下から見上げられている形になる。
私は一番端で、いつもならあまり目立たないはずだが、今日ははみ出している分、変に目立ち、かなり視近距離で手元まで見られるだろう。
そう思った瞬間、いや視線を感じたからか、目があったからか、演奏中に指先が震えだしてしまった。
やばっ!
もちろんその震えさえも容赦なく見透かされてしまうだろう。
こんなにはっきり震えたのは初めてだ。
大丈夫。大丈夫。冷静に。
目線を逸らし、なんとか震えないようにする。
幸い、それ以上震えることもなく終わった。
はぁ~。あの近距離は危険だ~。
脱力感を引きずり改めてフルートが震えやすいことに気づく。
サックスなどは緊張しても楽器に重みがあるからある程度抑えてくれるが、フルートは軽く、楽器ごと動いてしまう。
音まで震え、ロングトーンは自然にビブラート(音を震わす)がかかる。
音が小さいからそこまで気にしなかったが、さすがにロングトーンは伸ばせなかった。
はっきりと自分が震えていることを自覚してしまうから。
残念な性格に生まれてしまった。
フルートでソロコンは絶対向かないな。
室内楽に向いていて、ロングトーンもきれいな音で聴かせるフルートだが、これは盲点だった。
私三年だよね?
ここに来ての緊張も初だった。
良くも悪くも、いろんな経験は思わぬ発見があるな~と実感した。



