吹いて奏でて楽しみましょう


第一回目の演奏会は、なんと玄関ホールだった。

「うそ…こんな広い所で?恥ずかしい。」

「う~ん、なんか広さがあだになって、余計貧相に見えるな。」

 先生!!じゃあすぐ辞めましょう!

「でも、やってみるか。」

 やっぱり…?

人の通りが激しい玄関ホール。

その一角にぽつねんと合奏のセッティングをする。

行き交う人がちらちら見ては、何事かささやいていく。

 大方、何が始まるのか?とか言ってるんだろうけど、たまにニヤニヤ笑って通っていく奴らが気になるんだよね!!

ただでさえ恥ずかしいのに。

「ああ、もうちょっと広がって。大きく見せよう。」


新入部員はさくらとして、見学に回る。それもそれでなんだかなあ、と思う。


~♪

音出しが始まると、さすがにこちらに集まる目も多くなる。

「じゃあ、校歌から行こうか。」

校歌、歌謡曲、楽器を変えてジャズ…


曲が進むうちに観客も増えてきた。

入れ替わり立ち替わりだけど。

職員や先生、大人の人は曲が終われば拍手をくれる人もいる。

それにつられて生徒からも拍手が送られたりする。

一通り曲を吹き終えると、

「次は4階で楽器紹介もかねてまた、演奏するから、友達誘って聴きにおいで。」

と、生徒に呼びかけて終わった。


次の演奏会はそれから2日後。4階の第一音楽室横のオープンスペース。

最初は時間になってもあまり集まっていなかった。

しかし、その不安もよそに少しずつ一年や二年が集まってきた。

だいたい女子だが珍しく男子も何名かいる。


まず景気づけに一曲、二曲やって先生が聴きに来た生徒に何か話しかける。

「これで興味を持ってくれたら、女子でも男子でも、一年でも二年でもかまわん。吹奏楽部に入ってみてくれ。歓迎するぞ。」

「はい。初心者でも?」

生徒の一人が質問する。

「当たり前だ。ここで演奏してるのはみんな初心者ばかりだったんだから。
じゃあ、楽器紹介をしようか。」

 楽器紹介は手短かに終わり、曲をもう何曲か吹き終えた所で、また先生がしゃべりだした。