時計の秒針とにらめっこしながら、立ったまま息を吐き続ける。


飽きてきた。


「本当は、10秒ぐらいで楽器本体をつけるのよ。」


なんですと!?


「そうなんですか!?」


「うん。じゃないと全部に息が回らないから音が出ないの。」


チラッと残りの部分の楽器を見る。


もう君たちと奏でることは出来ないかもしれん。


「私、さっきから全然タイムが上がらないんですけど…」


少しずつ息を吐いていくと言われたが、もはや最初から全力である。


「最初は難しいよね。」


「そうそう、あれは?ここをふさいで吹くやつ。」


「あ、そういえば教えてなかった。」


「?」


2人のやりとりにキョトンとする。


「あのね、このつなぎめの息が出るところを手のひらで抑えて、

フー。

って吹くと息が少しですむから音が出しやすいのよ。」


先輩の出した音は、普通より低くくなっている。


フー。 というより
ホー。 って感じ?


「あ、本当ですね。」


「でしょ?1オクターブ低いけど、それで慣らしてみたらいいよ。」


「はい。」