『プログラム第21番。那覇市立伊是名中学校…』
あ~来た。
「アナウンスが流れたら、出て下さい。」
事前にそう言われていたので、係員のどうぞというジェスチャーで、スッと前に踏み出す。
背後では、頑張って!というスタッフの小声での応援。
思いがけない励ましに、笑顔で返す。
客席からの拍手と、頭上のスポットライトの中、ひたすら自分の席を目指して歩く。
4人だけの舞台は広い。
舞台に出た瞬間から余計な緊張も締め出して、心もオフにした。
普通にやればいい。
少々捨てばちというか、自分でも意外だが、大した責任などないと思うとさっきよりは落ち着いている自分がいた。
席に着き、譜面台に楽譜を置いてスタンバイする。
ふと視線を上げるとみんなの顔がいつになく真面目で、今まで見たことのない感じがした。
茜がみんなに確認を取り、私に目でサインを出す。
私は頷き、茜のアルトサックスの動きに合わせて、初めの音を切った。
♪♪~♪~ー♪~
最初は無事決まった。
が、後は振り返らず先の事だけに意識を向ける。
練習通り、焦らず、一音一音、確実に。
一度流れたら、音は止まらない。
いや、止めちゃいけない。
何があっても。



