吹いて奏でて楽しみましょう


日にちがせまると、指導する先生も人が変わったように厳しくなった。

どうも納得いかないらしい。

私達はどこが納得いかないのかもわからなくなる時がある。

「頭から通しで。」

通しというのは、最初から最後まで止まらす吹くことだが、その分、部分的に練習してた時よりも雑になる。

スケールを間違えたり、注意された所でうまくいかなかったり。


通し稽古が多くなったある日、茜が先生に呼ばれた。

戻ってきた茜は楽譜を見ながら難しい顔をしている。

「どうしたの?」

「うん、今のままじゃ、ろくな演奏できないから、曲削るって。」

「え!?どこどこ?」

恵が茜の楽譜に目をやる。

「とりあえずここからここまで。あとここも。」

スイングの所だ。

「え~うっそ~。ここ削らないとだめって?」

「うん。銅賞確実らしい。」

前にも書いたが、銅賞とは参加賞同然のこと。

「そんなにダメなの?うちら。」

莉奈が信じられないという調子で言う。

「う~ん。」


が、その後も

「ここもカットだって。」

「え~!?もう吹くとこなくなるじゃん!」

約半分カットされた。

「アンサンブル出る気あるのかな?」


「いくらなんでも削りすぎじゃない?」

「もう曲っぽくないよ。」

「でも、銅賞かこれかって言われたら?」

「…」


しばしの沈黙の後。

「賞にこだわりすぎじゃない?」

「だよね、まぁ銀賞は取りたいけど、これじゃ面白くないし。」

「うん、面白くない。それにやってみないとわからないじゃん?」

「私、もう賞とかより、これ一通り吹きたいかも。だって演奏するの私たちだし。」

「だね!私も!」


みんなの意見が一致して、茜もふんぎりがついたように先生と交渉しに行った。


「お前達、本当にいいんだな?」

無言で頷く。


交渉は揉めたらしいが、結局、どこもカットせずに挑むことになった。