合奏練習も数回とこなし、集中して練習する所も次へ次へと進んだ。
「ここからリズムが変わってスイングになる。」
楽譜にはswingの文字。
「スイングのリズムはわかるか?」
「だいたいは…。」
あやふやに答えたが、ジャズをやっていたので、なんとなくわかる。
タ~ララ~ララ~ラ
と吹けばいいのだ。
ジャズ独特の吹き方らしいが、最近ではいろんな曲に使われている。
「じゃあ一回吹いてみようか。」
~♪
一通りその場所を吹き終えた後、先生は首を振った。
「あ~やっぱり固いな~。
いいか、スイングとは、ジャズの一番大事なもの、と言っても過言ではない。」
「そうなんですか?」
意外そうな声で茜が言う。
「スイングの意味は揺れるとかだが、躍動感がないといけない。
こう…楽しそうに、弾むように。
タ~リラ~リラ~リ♪
それこそ体が揺れる感じだ。」
う~ん、感覚的なことってのは難しい。
「もう一回。」
~♪
「まだ固い。もっと軽く。」
「音を飛ばさないように!」
簡単だと思ってたものが意外と難しい。
他にもバリトンのソロパートでは
「ここは歌うように。タラリラリラ~ララ~ラ♪」
身振り手振りを加え、表現を教えてくれるのだが、
~♪
「あ~違う違う!」
数回に渡るダメ出し。
「…歌うようにって。リズムや音の大きさを変えてもいいんですか?」
素朴な質問をしてみる。
「いや、違う違う。アドリヴとは違う。あくまでアンサンブルなわけだから。」
「はい…。」
そうか…一人だけテンポ外せないよな。でも…じゃあどうやって表現するんだ?
「あ、今のおしいな。」
「あ~元に戻った。」
う~ん、歌うように吹くって。難しい…。
最初は真剣に先生の言わんとする所を掴もうとするが、だんだん、わけわからなくなる。
さっきと何が違うのか?
よく、歌うように と言うが、私はその言葉が苦手だった。
はっきりとどうなのか、何が正解かがわからない。
音で表現するのは、ことのほか難しいと初めて感じた1年だった。



