吹いて奏でて楽しみましょう


ロングトーンの後、音は変わるが、同じリズムが続いてるところから伴奏にあたるのだろう。

その伴奏が

タン、タラッタッ タン、タラッタッ…

と続いている。

音にすると、なんとも妖艶というか、妖しいのだ。

は、恥ずかしすぎる!!

「えーやだ~何これ?信じられない。吹きたくない…」

楽譜を眺め、しばし唖然とする。

曲聴いた時も怪しく感じたけど、アルトのメロディーラインばかりに耳がいって、気づかなかった。

 バリトンでこんな怪しい旋律を奏でていたなんて…。

地面に手をついてうなだれたい気分だ。

「楓~♪曲どんな感じ?」

各々、別の場所で吹いていた私達。

莉奈がタイミング悪くやってくる。

 暇なんですか?
あ~絶対バカにするよ。この人。

「…うん、割と簡単だけど…」

「え!?本当?すごいじゃん!吹いてみて♪」

「いや…まだ、出だししか…」

「いいよ~。ききた~い。」

 …いずれは合わせるんだから仕方ないか。

「実はかなり、怪しいんだよ。吹くのが恥ずかしいぐらい。」

少し上目使いでぼやく。

「だって元々怪しい曲じゃん。」

 いや、そうでなくて…。まあ、そうなんだけど。

「わかった。でも、あんまり笑わないでよ。」

意を決して楽器を構える。

~♪


「え?うわっ!何!?めっちゃ怪しい!!」

「でしょ~も~恥ずかしい。」

はぁ~とため息をつくと

莉奈がぶはっと笑い出した。

「ちょっと茜ー恵ー!」

「え?ちょっと…!」

莉奈は止める間もなく、二人を呼びに行った。


「…本当、怪しいんだから!」

莉奈に連れてこられて、二人が登場。

「莉~奈~!」

 あんたって奴は!

私が怒りのこもった声をあげる。

「ま~ま~、茜達にも聞かせてよ。」

 こいつ、人の不幸をおもしろがって生きるタイプだな。

「え~もうやだ。」

私がすねて言うと。

「私も聞いてみたい。気になるし。」

茜は意外と悪ノリしたりする。

また、ため息をもらして、楽器を構える。

 私は、どうせノーと言えない典型的な日本人ですよ。