「楓~。曲吹いてみた?」
莉奈が楽譜をヒラヒラさせながらやってくる。
「曲?まだだけど、もうやってもいいの?」
楽器を変えたのが昨日だ。昨日はいろいろあったし、楽器に慣れるための基礎練しかできなかった。
「うん。早くやった方がいいみたいよ。茜達は昨日から早速やってるし。」
「そりゃあ、茜と恵はアルトのままだから…。」
「そっかな~?あ、茜!私達も曲練習やっていいよね?」
茜がやってきた。
「え?曲?まだやってないの?」
「うん、だってまだ昨日楽器変えたばかりだし。」
私が同じことを茜にも言う。
「あ、そっか。それにしてもすごいね。バリトン。」
「すごいって…何が?」
「いや、なんかやっぱり大きいというか、こんなに巻いてたっけ?」
茜が指差したのは頭管部の管が一回転して輪になっているところだ。
アルトはまっすぐだし、テナーは少しうねってる程度。
「音出る?」
「うん、一応…。まだ小さいけど。」
「へ~ちょっと吹いてみたいかも!」
「いいよ。」
「重っ。」
指遣いなどは同じなので教える必要はない。
プー♪
「ふー、やっぱり音出すの大変だね。あ、テナーも吹いてみたい。」
後から来た恵も同じことを言った。
「恵、やっぱうまいじゃん!」
良く音が出るのは恵だ。
「ところで、曲の話してたんだけど。」
莉奈が話題を思い出して聞いた。
「あ、そうだったね。先生に聞いてみる。」
茜が先生のところに聞きに行った。
「いいって!」
戻ってきた茜の言葉に莉奈が早速、譜面台を準備する。



