吹いて奏でて楽しみましょう

そんな風に思えた矢先だった。


「茜ってさ、ちょっとウザくない?」

「へ?」

まだ茜は来ていない。

不満を漏らしたのは、茜と一緒に入ってきたはずの莉奈だった。

私の中では二人は幼なじみで、同じ塾にも通い、お互い一番仲の良いものと認識されている。

それがなぜ!?

 空耳か?

「あ~なんかわかる。」

恵が乗り出した。

二人は茜について不満を言い合った。

「でも、莉奈と茜って友達だよね?」

信じられない思いで言うと、

「親が仲いいからね。私達は普通だよ。」

「でも、莉奈が茜を誘って吹奏楽部に入ったんでしょ?」

 確かそう聞いたような…。

「まぁ、初めはそうだけど。
なんか辞めたいって思った時もしつこかったし。」

「はぁ…。」

 わからないし。

確かに、二人の性格はあまり似てない、と思う。

茜は情熱的で莉奈は自由奔放。よく人を笑わす。

共通の友達も違うけど、それはクラスが違うからだと思っていた。

「確かにあの時は茜頑張ってたけど、莉奈は納得して戻ったと思ってた。」

「違うよ。テニス部行きたかったけど、親がうるさかったし。」

「あ~、そういえば莉奈の友達テニス部多いね。」

「あ!茜来た。今のは内緒ね。」

「うん」

 言えないでしょ、普通。
でも、友達だよね?言うかな?そういうこと。

とはいえ、今日だけのことだと思っていた。
が、甘かった。



だんだん茜への文句はひどくなり、ついに避け始めたりしたのだ。


「あ、今日茜が来るから帰ろーかな。」

 マジですか!?

「いくらなんでも…」

「だって~」



「楓一人?」

「…うん?あー莉奈は用事で帰って、恵は真弓のとこ。」

「そっか…」

「…」

 マジ勘弁してよ。気まずすぎでしょ。

 今の中学生はわからないわ…(私も中学生だけど)

でも、この感じ小学校の時にもあった。
私のグループでも影でお互いの文句を言い合ってた。

もちろん、私も言われてたし、言い返した。

それはそれは嫌な経験で、繰り返したくはないと思ったものだが。