吹いて奏でて楽しみましょう


夏休みも終わり、私達は以前の落ち着きを取り戻していた。


サックスは第1音楽室の前のオープンスペースで練習している。

涼を取るため窓際でやっているが、いかんせん残暑により風が吹かない。


「あづ、い、」

「風、吹かないかな~。」


他の金管楽器はベランダや日の当たらない外でやってたりする。


「アメリカパトロールあわせよっか?」

「うん。」


今ではインザムードだけでなく、他の曲も練習メニューに入っている。

やっぱり、合奏が一番楽しいし、気が紛れる。



ある日の帰り道、茜と二人きりになった時、荒れてた時の話題になった。


「初めは正直、みんなの考えてることがわからなかった。


茜の意外な告白に驚きながらも相づちを打った。

「え?でも茜だって、その…楽しそうにしてたじゃない?」

「うん、最後らへんはね、もうなんでもいいや、って思ってみんなに合わせてはしゃいで…まあ、楽しかったりもしたけど、
やっぱり、怖かったな…。」

「先生にバレること?」

「うん、まぁそれが一番。
恵達は怖くないのかなあ?って不思議だったし、ほら、私最初は注意してたでしょ?」

「うん。部長としてはつらい立場だよね。」

私は思い出しながら言った。

「楓は、野球には加わらなかったよね?」

「うん、そうだね。私もやろうかな~と思ったことはあるけど、その瞬間見つかったら怖いじゃん!?」

「あはは、だよね~。みんな固まってたもん。
楓の気持ちもわかる気がしたから、無理には誘わなかったんだけど。」

「そっか。」

 気づいてたのか。
「でもあの日、少し安心したんだよね。」

「見つかった日?」

「うん、これで終わるんだな~って。
なんか、中途半端だったじゃん?」

 あ~なんとなくわかる。

私は苦笑しながら言った。

「吹奏楽部じゃなかったね。」

「そう!そういうこと。楽しいけど、虚しいっていうか…。罪悪感もあるし。」

 茜は正義感強そうだからな。

「でも、恵達の気持ちもわからなくないっていうか…。」

「え?」