吹いて奏でて楽しみましょう


 フルート、吹きたいな。

「楓もやらない?」

「う~ん、いいや見てる方が楽しいし。」

 うそ。

「そっか~。」

茜が側に座った。

「…フルート、吹いてもいいかな?」

さっき心に浮かんだことを言った。

「いいんじゃない?もう、こんな状態だしさ…。
あ!私もクラリネット吹こうかな?」


久々のフルート。

 う~ん、やっぱり腕が落ちてるな…。

ついでに心も落ちてるので、あまり楽しくはなかった。

 ワーワー遊んでる時に、一人で吹いて楽しいわけないな。



しかし、そんなことが長く続くわけもなく。


サイアクの日が訪れた。


その日もまた、野球で盛り上がっていたところだった。


「あ、」

誰かの声、そして一人一人気づいていく。

廊下の窓の外で先生が険しい顔で立っていた。


しーんと静まり返る室内。


 見られた!

ごまかしようもない。

先生が音楽室に入った。

「何をやってる?」
「…」

「練習は?」

「…」

沈黙が流れる。

「お前ら、他の先生に見られて注意されたよな?」

つい先日の出来事だ。
その先生はあっけにとられた顔したが、すぐ入ってきて私達は叱られた。

「はぃ…。」

「その先生だけじゃない。みんな知ってるぞ。バレないと思ってたのか?」

「…」

「練習しないなら辞めろ!!」

「!…」


みんなの肩がすくむ。

「1年は帰りなさい。2年は全部片付けて残れ。楽器もだ。

あと、茜、後で音楽準備室に来い。話がある。」

「はぃ。」