しかし、ビックバンドで吹奏楽コンクールに出るわけではない。

 というか、吹奏楽コンクールだから、吹奏楽曲をやらなきゃいけないんだよね?たぶん。

いったい、これを練習してどうするつもりなのか?と考え始める。


「吹奏楽コンクールはだめだが、いずれはジャズの演奏会みたいなもんには出ようと思ってるぞ。」


 ジャズ道まっしぐらか。
それは、それでなんかいや…。


複雑な気持ちをもちつつ、時は過ぎ、夏休みとなる。

夏、コンクール。

「今回も見に行くんですか?」

「もちろんだ。」


 ま、近いからいいけど。

「て、よくなーい!」

「え?なんで?」

恵の反発に茜が疑問の声を上げる。

「だって、近くの学校の吹奏楽部はみんな出るのに、私達だけ楽器持たないでうろうろしてるんだよ。恥ずかしいじゃん!」

「あ、そっか~。制服とかだと余計目立つよね。」

「出ないのになんでいるの?みたいな。うわ~悔しい~。」

茜や莉奈が同意する。

「私服でもいいぞ。夏休みだし。」

顧問がさらりと言った。

「私服ならいいんじゃない?」

茜がなだめると

「でも、他の中学に同じ小学校だった子いるし…。」

「あ、私もいる。友達が。」

「ほら~楓なんか友達がいるんだよ?」

「うそ~楓大丈夫?」

 う~ん、あまり考えてなかったな…。
私が出れないと知ったら彼女らは、バカにするんだろうか?

いや、しない。
したら、もう友達とは言いたくないし、言えないだろう。


「うん。私は大丈夫だよ。向こうも大変そうだし、きっとわかってくれるよ。」

私達はたまに手紙をやりとりして、部活の状況とかも知っていた。

 向こうは後輩が生意気でミーティングばかりとか言ってたな…。
 確かに先輩をなめてる後輩ってなんかやだ。

 でも、大会には出れるのか…。


結局、私が大丈夫なことと、私服でいいというこで、みんな行くこになった。