さすがに音を出すのは難しい。


指は三本のキーを押すだけで面白いんだけど…。


金管はほとんど三本キーだ。

それだけ色んな指使いがあるわけだよね?


なんか不思議。三本だけで色んな音を出せるなんて。


もちろん息の出し方でもコントロールするのだが。


「じゃあ次はいよいよこれでーす。」


トロンボーン。


形状はひたすら長く、キーはついていない。
U字型の金属棒でスライドさせて音を変えるのだ。


マウスピースもでかくて、振動させにくい。


でも、スライドがちょっと楽しいかも。


と油断していると。

「あっ!」


金属棒が取れた。


「あ~、これはずれやすいから気をつけてね。」


「はい。」


しかし、遠くに伸ばそうとするほど手が届かなくて


「あわわ」


ギリギリ伸ばした指から外れて抜けてしまう。


…こりゃ難しいわ。

「まあ、マウスピースに慣れるまでは本体はすぐにつけないんだけどね。」


それでも、できる気がしない…のはなぜだろう。


先輩のフォローもそこそこに私は遠い目になる。


「じゃあ次は木管みてみよっか?」