「借り物の楽譜だからな、大事に扱えよ。」

そう言い置いて楽譜を配りだした。

もちろん、原本はコピーして返すんだろう。


コピーした物も、最終的には手元に残らず、返すことになる。

各自で保有すると著作権法にひっかかるのだとか…?。

細かいことは知らない。
が、それでもコピーするのは、原本の破損や紛失を防ぐため。
それと、楽譜に各自メモを入れるためだ。
しかし、そのコピーは、役目を終えると回収されてしまうので寂しい。


「イン・ザ・ムード…?」


楽譜のタイトルを呟く。


「グレン・ミラーだ。すごいだろう!」


「グレン・ミラー?誰?」


「すごい!グレン・ミラーだ!これ吹くんですか!?」


2年生達が?マークを浮かべるそばで、友子先輩は、はしゃいでいる。


 本当に誰?作曲家なんて知らないし。有名な人?
でも、曲名はなんとなく聞いたことあるような~…