吹いて奏でて楽しみましょう



入学式から、1日、2日と日は立ち…


「部員来ないね~」


私達はまだ新入部員を獲得できていなかった。


「最初は見に来る子もいたけど…あの子達来ないのかな?」


不安が募る。



そんな中、香奈恵先輩が、

「今度の週末に体育館で、部活PRをやるから。」

と言った。


 あ~そういえば、去年もあったような…。


各々の部活が新入部員を獲得するため、壇上でPRをするのだ。


「で、清花が委員会で出られなくて、私と友子で壇上に上がらなくちゃならないのよ~。」


「へ~大変ですね~。」

香奈恵先輩の言葉に私は相づちを打つ。


「うん。緊張する…。
あ、だから楽器紹介で楓ちゃんにフルートのスケール吹いて欲しいんだけど。できる?」


「え!?私ですか!?」

思わぬ展開。
人のこと心配してる場合じゃないじゃん。

「うん!できればスケールがいいんだけど。
私も去年やったし、大丈夫だよ。」

「はぁ。緊張…しますね。スケールですか?」

「うん。とりあえず練習しといて。ピッコロは私が舞台で吹くから。たぶん、一番最初になると思うけど。」

じゃあ、ついでにフルートも吹けばいいじゃん。

なんて、独りよがりなことを思いつつ、
「はい。」
と返事をした。


「で、クラリネットはパートリーダーの茜お願い。」

「え!?」

「サックスは恵。」

「…」

「ホルンは…」


次々と私達2年生が指名されていく。


それもそのはず、3年生が4人しかいないのだから…。


 みんなも同じならいいか…。でも、一人で吹くなんてやっぱ緊張するな。


指名されたみんなもざわめき出す。


「あの、ドレミファソラシドだけでもいいですか?」


トランペットの美里がおずおずと質問する。


「う~ん、できればかっこよくメロディーとかなんか吹いてほしいんだけど~?」


ぶんぶんと一同、首を横に振る。


「じゃあ、先生に相談してみるわ。」


香奈恵先輩は苦笑しつつ、そう言った。