幕が上がる。

徐々に見える聴衆。


 ひぇ~。やっぱり恥ずかしい。

部員からも小声で「恥ずかしい」の言葉が聞こえる。


友達とか身内に改めて見られるのは、結構つらい。


私は一番前だが、半円形の端の方で真正面を向いているわけではない。


それをいいことに、客席から目をそらして、譜面と指揮だけを見るようにした。



大会でないとは言え、先生は手を抜かない。

練習も沢山したし、本番もつられて真剣そのものだった。


やがて拍手が起こり、私達の演奏は終わった。



これが今年最後の演奏だ。