繰り返すごとにテンポがましていって、聞いているこっちが圧倒されてしまった。


たまたま通りかかったもう一人の音楽の先生が

「すごいな。」

と言ったぐらいだ。


本当、先輩はすごい。

我に返った私は楽譜に目を通した。

 わ、結構音高いな~。

最初からミの高音。


 あでも、私はセカンドだから下のパートだよね。
え~と一番高い音は…ミ、ファ…ソ。ソか~。出したことないな~でるかな~?


などと思っていると、

 ん?待てよこれはひょっとして…


一番下の高音の羅列する行を見る。

ほとんどが、いや全部が5線譜に収まらず、上につきだしている。


私はその中のファだとばかり思っていた音符をさしながら音を探った。


 ミ、ファ、ソ、ラ…ラ!!?

 そんなの習ってませんけど!?


慌てて教則本を取りに行きページを開く。

 あ!あったラ!!
え~こんな音出したことないよ~。


すぐにラの指使いを覚え、出してみるが、なかなか出ない。

 酸欠になる…。


練習し始めて、なんとなく先輩が必死になる気持ちが分かった。


テンポが速い上に四分音符を八部音符で吹かなきゃいけない。

その上、高音の羅列ときている。


 これは勢いで吹くしかないね。


とにかく私も夢中で練習した。