大会前は夏休みだというのに朝から夕方まで一日中、休日なく練習をしていた私達だが、大会が終わって4日ほど休みがあり、その後も練習は午前中だけ、土日は休みというのんびりとした毎日を送っていた。


文化祭でやるかもしれない曲を練習し、たまにプールに入ったりと気楽なものだった。


3年の先輩達は受験で塾に通ったりしているのだろう、休みの日も多かった。



そんな時、一枚の楽譜を渡された。

「今度、県内の吹奏楽部が集まって練習するから、一応軽く練習しておきなさい。」


軽く。本当に?


曲名は
“士官候補生”
行進曲だ。


「あ、懐かしい~これやったよね~」

清花先輩と香奈恵先輩がさっそく練習をする。


清花先輩はピッコロを持っている。フルートより高い音が出るとにかく小さい楽器。指使いも同じ。


だけど、音を出すのは難しくて、ピーピーうるさいのでフルートより目立つ。

普通はフルートをある程度吹きこなせる上手い人が担当する楽器だ。


うちにあった“ちっさいフルート”の正体はピッコロだったんだと知る。


 なぜピッコロまでもがうちに?



~♪~♪~♪~♪

気づけば、先輩達がすごい勢いで曲を吹いている。