「ま、気持ちだし。」

茜がすかさずフォローを入れる。

 さすが茜!


「だよね。でもそれ切れるまでずっと付けとくの?」


「う~ん、一応当分はつけるよ。」

 気にいってるし。先輩が作ってくれたものだし。


「ま、コンクールにはつけられないだろうけど。」


「はずすの?」

「うん…だって、吹奏楽祭でも身なり厳しかったじゃん。」


「だよね~。」

「コンクールにこそつけたいんだけどね。残念。
でもスカートのポケットに入れとくよ。」

「あ~、それいいね。」



「明日か~緊張する~。」

「私眠れないかも。」

「あんた、一週間前から緊張してたじゃん。」

「でも今日は眠らないと。」

「明日ミスったらどうしよう~。」

「やだそんなこと言わないでよ!」

「こっちまで緊張してたきたじゃん」

「私は今でも寝たい。」

「昨日徹夜だったもんね。」


大会前夜、いつもより騒がしい帰り道だった。