帰り道。

「なんか卒業式の帰りみたいだ。」

あげた分、大量にもらったみんなの贈り物。だいたいは鶴。

当日は忙しいから前日にやるのが定番なんだけど。


「昨日、遅くまで仕上げてたから眠い。」

サックスの子が言う。


「私も。とりあえず終わって良かった。」

クラの子がやれやれと言った感じでもらす。

 本番は明日だけど。


「でも貰えて嬉しかったね。」

ホルンの子がこたえる。


「そういえば楓、それもしかして聡美先輩から?」

クラの子が目ざとく私の腕を見て聞いた。

「うん。」

「可愛いね~。」

同じくクラの茜がほめてくれる。
それに呼応してみんなもほめてくれた。

「えへへ。ありがと~。」


「いいな~」

「そういえばプロミスリングってさ自然に切れるまで切っちゃいけないんだよ。」

「え?なんで?」

 切る気はないけど、自然と切れるものなの?

「なんか、切れた時に願いが叶うとか?だったかな?
で、自分で切ったら叶わない。」


 このプロミスリングに込められた願いって言ったら大会のことだよね?


「大会明日なんですけど。」

 それまでに自然と切れるわけないし、逆に縁起が悪いような。
それに先輩にもなんか悪いよ。