『なんかいろいろ怒ったりして、私がこわい時もあるかもしれないけど、ごかいしないでね…そこらへんは先輩になったらわかるよ。』


曲変更から何週間か経った聡美先輩からの交換日記。


『私も一年の時は、先輩こわくて行きたくなかった時が多かったよ。』


 へぇ~。そういえば昔はもっと厳しかったって、先輩がこぼしたのを聞いたことがある。


改めて先輩にも一年の時があったんだと実感する。


『でも自分が先輩になってみて、あっ、あの時あの先輩は私達のために、こんなふうに怒ったんだなぁ。って、初めてわかったんだ。』


『だから、今は素直に先輩達を尊敬できる。』


素直に尊敬できる。
そう言い切った聡美先輩はすごいまっすぐな人だと思った。

 私が3年なっても素直に…って言えるだろうか?


『だから、それまでつらい事とかあるかもしれないけど』


 げっ!これって、これからもまだビシビシ行きますって予告通知?


『それを乗り越えて初めていい先輩になれるんだよ。』


…はい。


『後輩がきらいだったら、注意も何もしないよ。むしろ好きだから怒るってこと忘れないでね。』


う~ん、そうだよな普通。
誰だって怒りたくない。嫌われたくない。でも、良くなってほしいから…。


その普通が日々のことで忘れがちになる。


『まぁ、楓ちゃんはいい子だし。私は一年の中で楓ちゃんが一番好きだよ。
なんか、へんな文でごめんね。
大会がんばろうね。』


 キャーキャー。好きって言われちゃった。先輩ってレズ?(そんなことはない)

照れるな~。でも嬉しい。

その日はあまり読み返すことなく、日記を閉じた。


なんとなくもやもやする気持ち。
それは、時を置き、また言葉にすることで晴れてしまうこともある。


 私も先輩を尊敬してる。