図書室の扉が、やや乱暴に開かれて。

そんなに広くはない、学校の図書室で。

僕の姿を見つけたレイジは、大声で話しかけながら近づいて来る。

「シュン~!やったぜぇ~。今日は絶好調でさぁ~。ドリブル行きまくりで、シュート決めまくりでさぁ~。ここまでくると、自分の才能に怖くなっちまうぜ?」

僕はやっぱり微笑みながら、それでもいつものように言ってしまう。

「レイジ、ここは図書室だから静かにしないとダメだよ。」

レイジは僕の前の席に腰を下ろして。

スポーツバックを枕みたいに抱きしめながら。

「いいじゃんか。二人きりなんだし。」

「まぁ、そうなんだけどね。」

「はぁ~、今日は疲れたなぁ~。さっさと帰ろうぜっ、な?」

レイジはそう言って、席を立った。

僕もレイジの後について、図書室から廊下に出る。

「それにしてもシュン~、俺がプロになったらさぁ~。」


レイジと並んで歩いている。

レイジが笑顔で色々なことを話している。

それだけで。

今の僕にとっては充分だ。


「お~い、シュン~。聞いてるのかよぉ~?」

レイジの心配そうな顔が、僕をのぞき込んでいた。

「えっ?あ、うん、聞いて・・・なかった。」

「なんだよぉ~、いつもいつも。人の話しはちゃんと聞けよなぁ~?」

「ごめんごめん。」

「しょうがねぇなぁ~もう。」


ユリが教えてくれたことなんだ。

友達以上には、なれなくても。

こうやって側にいて、レイジを見守っていること。

ずっと、レイジの味方でいること。