図書室の扉が、やや乱暴に開かれる。

そんなに広くはない、学校の図書室で。

僕の姿を見つけたレイジは、大声で話しかけながら近づいて来る。

「シュン~、聞いてくれよぉ~。今日は散々だったぜぇ~。シュートしても外れるしよぉ~。」

僕は微笑みながら、それでもいつものように言ってしまう。

「レイジ、ここは図書室だから静かにしないとダメだよ。」

レイジは僕の前の席に腰を下ろして。

スポーツバックを枕みたいに抱きしめながら。

「いいじゃんか。誰もいねぇ~んだし。」

「まぁ、そうなんだけどね。」

「それにしてもシュンは、勉強好きだよなぁ~。」

僕は微笑むだけで、なにも言わない。

「そんな勉強ばっかしてると、頭でっかちになっちまうぜ?」

「ならないよ。レイジこそ少しは勉強しないと、今度のテスト知らないよ。」

「いいのいいの、俺は将来、これ一筋でいくんだから。」

そう言って、レイジは椅子から立ち上がると、ボールを蹴る振りをした。