でも。

心の片隅で僕は。

自分が人とは違う性癖があると自覚したときから。

きっと。

いつかレイジに訪れるであろう普通の恋を。

こうなることを。

覚悟していたはずだ。


レイジは僕とは違う。

普通の“男”なんだ。


だから。

だから僕はそれを、見ていることしか出来ない。

僕にレイジの恋を邪魔する権利なんて。

どこにもないのだから。


理解はしていたつもりでも。

いざその場面に直面すると、こんなにも辛いものだったなんて。

僕は全然、甘かった。


軽い混乱の中。

僕はそのままベッドへと寝転んで。

込み上げてくる気持ちを。

零れ落ちそうになる涙と一緒に呑み込もうと、必死になっていた。


でもそんなときに限って。

プレイヤーから流れてくるのは、悲しい失恋の曲だったりして、本当にイヤになる。