燈る蝋燭 揺れる紅提灯
この世の沙汰は万華鏡

苦海を泳ぐ長蝶尾
潮辛い水を飲まぬ術は無く


幾重にも重ねた布の果て

やっと貴方に逢えた



共に狂いませぬこと 三枚歯の下駄
脱ぎ捨てて床に入りませう

厭ならばほんの少しの悪戯を
私は 横へ行きたいの

指きり拳万 嘘は吐かないで



あの日から私は銀蝶尾
やはり此の水は 潮辛いだけ

あの温もりを 思い出せば尚
あの囁きを 喚起すればほら


この立兵庫も 中身は忍
見栄を張るのは もう疲れた


怠惰なだけ もう一度だけ
貴方に逢えれば何も要らぬ

足抜けを試みて その袂へ
鳴呼 逢いたかった



共に沈みませぬこと 水の底
凍てついた海 突き刺さる寒威

けれど貴方とならば温かい


息を止めて

夢を見て

手を繋いで 

離さないで

話さないで




私たちの愛の前では


時の流れさえも平伏すでしょう



だから 指きり拳万 嘘は吐かないで