赤いサンタ.黒いサンタ

ドクン…。






心臓が一つ脈を打つ…。



翔は無意識の内にパトカーの方へ走っていた。



美代ちゃんの家と道路は既に黄色いビニールテープで遮断されていた。



警察官が二人入り口に立ち、警察官を覆う形で野次馬が詰めかけている…。



翔は入り口から3メートル程離れた場所に立つと、野次馬の声が聞こえて来た…。



「怖いわね…、皆首から上が無かったそうよ…。」



「可哀想にね…、娘さんなんてまだ小学1年生だったのに…。」



翔「あのっ!」



翔は思わず野次馬のおばさんに声をかけた。



翔「ここで…何かあったのですか?」



「坊やは知らなくていいのよ」



おばさんは造り笑いをする…。



翔「殺されたのですか?僕友達なんです!」



「そうなの?…ええ、家族全員ですって…。

坊やも気をつけてね。」



翔はおばさんにお礼を言うと、公園のトイレに駆け込んだ…。



翔「オエっ…ウッ…オエっ…。」



翔はトイレの洗面所で嘔吐した…。



頭に美代ちゃんの生首映像が浮かんだからだ…。



翔は手と口を洗うと、公園を後にした…。






時刻は午後2時20分。






“明日”まで残り【9時間40分】