天使と呼ばれたその声を


「そう、ですか」

「ミチルちゃん?」

「はい」

「虐待、受けてるね?」

「……」

「医師は報告する義務があるんだ」

「……」

「何故、お母さんと一緒に実家に行かないの?」


それを言った所で何が変わるんだろうって思うけど、ソラの雰囲気を持った先生には正直に言う事が出来た。

父親は初めからあんな人ではなかった。真面目で、仕事人間だったけど家族を大切にする人だった。私はちゃんと、幸せを感じていた。それなのに、不況の波にリストラされた父親は豹変した。

毎日お酒を飲んで…、お母さんに八つ当たりするようになった…。もしかしたら立ち直るキッカケがないのかもしれない。親だって私と同じ人間だから、自暴自棄位あると思う。それがエスカレートしただけだから、庇う訳ではないけど、虐待だけは否定した。

いつか、リスタートするその時が来るまで待ちたかった…。