天使と呼ばれたその声を


先生を見て、問診に答えられない程に雰囲気に呑まれたのはソラと似ていたからだと思う。
ソラと同じで先生も人を魅了する雰囲気がある。たまにしか見せない笑顔もまるで先生に似ているソラは紛れも無く父親似だ。


医者の父親を持ち、きっとソラは何不自由なんかないんだろうなって思う。恵まれた家族と仲間がいて、幸せなんだろうなって羨ましく思う。ますますソラとの格差を感じた瞬間だった。


「ミチルちゃん、一緒にいたのはお母さんだね?」

「……」


出来れば、ソラには席を外して欲しかった。
こんな私を見て欲しくない。もう既に傷だらけで、見られたくない所は見られているのだけど…。これ以上…これ以上はって、心が拒絶している。

そんな私の気持ちが通じたのか、タイミングよくソラのバックから携帯音が鳴った。


「ソラ!病院では電源を切りなさいと言っているだろう」

うざったそうに携帯を耳に当ててギターを片手に持ち、病室を出ていくソラ。