恋想戯曲 ♥ Le rêve du papillon

不意に誰かから声をかけられた。

まったく聞き覚えのない声。声の感じだと、ちょっと軽そうな若いオトコって感じ?

振り向くとそこには、サングラスをし、スイカのような黒い模様の入った流線形のヘルメットをかぶり、手には指の部分のないグローブをはめ、痩せマッチョの筋肉質なカラダにはパッツンパッツン状態でフィットした派手な色づかいのタイツをまとい、タイヤが細くドロップハンドルの競技用自転車に乗った褐色の肌の男のヒトの姿があった。

ハッキリ言って、町で見かけたら近づきたくないし、見て見ぬフリをしたいいでたち。

「………」

だから返事はせず、すぐに前に向き直った。