恋想戯曲 ♥ Le rêve du papillon


この日のために血のにじむようなトレーニングを重ねてきたらしいから、ケガが奇跡的に治ることを祈ってギリギリまでねばって、なんとか出場しようと思ってるんだろうけど。

各々、ストレッチ運動をしたり、自転車の最終チェックをしている出場選手たちを遠巻きに見ているアイツの目が淋しそうで、その目を見れば、エントリーを取り消すしかない絶望的な状況だということは察しがつく。

「借りたお金、返しに来たよ」

「わっ」と声を上げて驚くアイツ。

まさかこんなところにあたしが来るとは思ってなかっただろうし、それに頭にバンダナを巻いた異様ないでたちにも驚いたんだろう。