恋想戯曲 ♥ Le rêve du papillon

「制服着てねぇから一瞬分かんなかったけど、よく見ると聖女のサキちゃんじゃん♪」

「そーいうアンタは、いつかの自転車男っ」

真田にはじめて会った日に、町で声をかけてきた制服マニアの男だ。まちがいない。

「自転車男はよしてくれ。それじゃ、ヲタク野郎の“電S男”みたいじゃね? オレの名は“ナグモ”、ナグモ・ヨースケ」

「ナ、グモっ!? あたし、世の中でクモほどキライなものはないんだよっ!!」

「ソッチの蜘蛛(くも)じゃねぇよ。オレは飛んでる雲(くも)だ。風に逆らう孤高の雲……南雲陽輔、よろしくサキちゃん♪」なんて言いながら握手を求めてくるけど、あたしはその手をパシッと払いのける。