私が書き写し終えると沖田は宿帳を返して外にでた。





ドクンッ・・・・・





心臓が激しく脈打つのが分かった。




私の目に入ったのは私が探し続けていた男だったのだから・・・・。






吉田稔麿(よしだとしまろ)





奴は二条大橋を渡り終えるところだった。





遠巻きからでも分かる悪趣味な真っ黒な着流し。高く上げた黒髪。




あの日と何一つ変わらない男・・・・




じっと吉田の方を睨みつける。






「・・・ん」



「さ・・・ん」



「凛さん?」







目の前に沖田の顔がいきなり現れた。