私がそう言うと斉藤は一瞬止まり襖を開けようと掛けていた手を離し窓のほうに寄って腰を下ろした。





「お前は何故行かぬ?」





「私が行くと死人が出るからだ。見ろあの関取たちは六角棒では人を殺す事はない。だけど私は六角棒でも人を殺してしまうから。」





「お主の流派は一体何処の流派なんだ?」





「私は山内流、免許皆伝もしている。山内流は確実に人を惨殺できる殺人剣だ。」







「聞いた事がないな・・・」





「私の父が開いていた小さな道場だからな。」





私はそう言って外に視線をずらす。





手こずっているな・・・・。





「危ないっ!!」







外を見ていると六角棒を持った男と戦っている永倉の姿。そして後ろから抜き身を持った力士の一人が今まさに永倉を袈裟懸け(けさがけ)にしようとしているところだった。