「山内、山崎。具合はどうだ?」




土方と近藤、沖田が部屋へやって来た。




三人の目に映ったのは蚊の鳴くような呼吸を繰り返す二人の姿だった。





そして三人もすぐさま悟った。“もうすぐ”なのだということを。





「凛くん!山崎くん!」




近藤は急いで二人の傍による。




「きょ・・・くちょ・・・」




薄っすらと瞳を開けた凛。




「凛くん!!もうすぐ江戸に着くぞ!!後、少しだ!それまでは・・・「私・・・とスス・・・ムが死んだら・・・海へ・・・」



近藤の言葉を遮るようにして凛が口を開く。




「海へ?」




「父・・・上・・・ありがとうございました・・・・。」




“父上”



凛が近藤の養女になり、初めてそう呼んだ。