「まつ・・・もと先生?」




「凛さん?解りますか??」





山崎が離れると今まで気を失っていた凛が薄っすらと目を開けた。




「山・・崎は?無事・・・?」




掠れる声で囁くように問い掛ける。




「あぁ、無事だ。君のお陰で傷一つないよ。今だって彼が君を背負って此処までやってきたんだから。」





「よ・・かった・・・」




凛はそう言って再び瞳を閉じ、蚊の鳴くような息を立て始めた。




凛が眠りに付くと入れ替わりに桶を持った山崎が戻ってきた。





「山崎君、今さっき凛さんが目を覚ましたよ、君の無事を知るともうちど眠ってしまったが・・・」




「そうですか・・・松本先生、お願いです。凛を助けてください。」




山崎はそう言って頭を下げる。





「全力を尽くすよ。」










・・・運命が、二人を引き離そうと・・・静かに動き始めた・・・。