何度も何度も壁に拳を打ち付けると壁にヒビが入り、拳からは血が滴り落ちていく。





『また怪我をしたのか』





ふと、凛の顔が頭に過ぎる。





自分が怪我をして部屋に戻ると決まってそう口にしていた。





呆れた顔をしながらも救急箱を取り出し手当てをしてくれた凛。







「っ・・・・何やねんっっ!!!何でいなくなったんや!」






瞳から次々と涙が零れ落ちる。




今まで泣いた事は一度も無かったし、悲しいと思ったことも無かった。






自分には“感情”と言うものはないものだと思っていた。嫌、無いものと思えと両親に言われ続けた。




“忍に感情なんていらん。そんなんあったって邪魔なだけや。”