『なんでそんな簡単に諦められるんだよっ!!』




耳には先ほど藤堂に言われた言葉が木霊している。





「簡単に諦められる訳ないやろ・・・。凛は俺の・・・」




“大切な人”





その言葉を言いかけ、ギリギリの所で飲み込む。







今、この言葉を口にしたら平静を保てなくなりそうで・・・




自分が壊れてしまいそうで・・・・






口に出来なかった。







「何やねんっ!!」





自分の不甲斐なさに腹が立ち、壁に拳を打ちつける。






ガンッ!!