声を掛けられ振り返るとそこには眼鏡を掛けたいかにも温厚そうな男が立っていた。



「副長、」




新撰組もう一人の副長、山南 敬介(さんなん けいすけ)




「もう体調はいいのかい?」



そう言いながら凛に近づいて来る。



「えぇ、副長はいかがですか?」



山南は池田屋事件のとき、体調を崩して出動はしなかったのだ。




「あぁ、もうすっかりさ。」



そう言って優しく微笑む。




「そうですか。私はそろそろ戻ります。山崎が五月蝿いんで・・・。「誰が五月蝿いんやて?」



縁側に白湯と薬を持った山崎がこちらを見ている。




「いや、今行く。」



凛はそう言うと山南に軽く会釈をし、山崎の方へ歩いて行った。