凛はそう言って俯き加減だった顔を上げ土方を見つめる。



「・・・なっ・・・!!」




珍しく土方が動揺の色を見せる。



「まだしっかりとは分かりませんが、きっと労咳です。」



凛はそこまで言うと苦しげに顔を歪め咳をする。



「こほっこほっ・・・げほっ・・・」



ヒューヒューとゆっくり息をする。



「山崎、すまないが濡れた手拭いをくれるか?」



「あぁ。」



山崎はそう言うと水の入った桶に手拭いを浸し凛に手渡す。




それを受け取り口元にあった手を拭く。



その手は微かに血が付いていた。



「・・・後で医者を呼ぶ。しっかり診て貰え。」




土方はそう言って部屋から出て行こうとする。


「副長っ!この事は局長には・・・。」



「分かっている。言わねぇよ。」





土方は背を向けたままそう言うと今度こそ部屋を出て行った。