その後、凛は山崎に背負われて屯所に帰ってきた。



「山崎くん、凛くんは一体どうしたんだい?」



近藤が心配そうに山崎に聞く。



それはそうだろう。池田屋で負った傷はそれ程深くない、それにも関わらず意識を失い池田屋から帰ってきてまる一日経つのに未だ目を覚まさない。


「肩の骨にヒビが入っていますし熱も少しありますから・・・きっともう少ししたら目を覚ますと思います。」



山崎がそう言ってもやはり近藤は納得のいかない顔をしている。



『近藤にだけは言うな。』



意識を失う前、凛はそう言った。



山崎は言われた通り近藤に喀血した事、労咳だという事、何一つ話していない。




「近藤さん、俺たちもまだやらなきゃいけねぇ事があるんだ。ここは山崎に任せて俺たちは行くぞ。」



土方にそう言われ近藤はやっと重い腰を上げ部屋を出て行った。




部屋には凛と山崎の二人になった。



静かな部屋に凛のか細い呼吸の音が嫌に響く。



「山内・・・」




そっと眠っている凛の頭を山崎が優しく撫でる。