紅い月

「えぇ、大丈夫です。」




いつもと変わらぬ声で答えると




「ぶっ・・・お前こんな時でもいつもと変わんねぇのかよ。」



と土方が向こうの方で少し笑う。




「まぁ、お前がこの位で泣く玉とも思えねぇがな。」





今度は永倉がそう言って笑う。




「トシっ、永倉君っ!」




そんな二人を近藤が叱咤する。




「凛くん、部屋に戻ろうか。」




近藤はそう言って私を立ち上がらせると前を歩き始めた。





「?どないした。早う部屋に戻るぞ?」





中々進まない凛を見て山崎は凛の前に回り顔を覗く。




けれど、凛は視線を上げず、自分の手を凝視していた。





両方の手首にはくっきりと吉村の手跡が付いていて、何故だか知らないけれどその手はカタカタと小刻みに震えていた。