紅い月

私は仕方なく山崎に言われた通りに座る。






何だ・・・?





「背中。」




「えっ?」




「さっき、火傷したやろう。薬塗ったるさかい背中出せぇ。」





山崎はそう言うと桶に入っていた水に手拭を浸し、絞る。





「あぁ・・・」




私はそれだけ言うと着物を少し肌蹴させ背中を山崎に向ける。






「!!・・・この疵・・・どないした・・・。」






山崎は私の背中にある大きな疵を見て声を上げる。





「六年前に斬られた傷だ。」