小さな約束



そう言って芽依は病室を走って出ていった。




「芽依!?」




すれ違いざまに入ってきた光流の母さんにぶつかりそうになる。


芽依は気にせず走っていった。




「光流!?何があったの!?」




「知らない」




「何!?ケンカしたの!?」




「ほっといて」




「もぅ!なんなのよ!」




俺達はその光景をポカンと口を開けて、見ていることしかできなかった。




「芽依はどこ行ったの!?全く…」




病室の外へ行こうとする光流の母親を見て、俺の体は勝手に動いた。




「おばさん!俺が行くよ!」




「え??」




俺は健一のベットから飛びおり、スリッパをはいた。




「にくまれ者はにくまれ者同士っていうし」




光流の母親はうろたえながら言った。




「じゃあ…お願いするわね」




「わかった」




そう言って俺は病室を飛び出した。




その時の光流の意味ありげな視線に気づかず…。