小さな約束



もう1年以上学校へ行ってない。




学校に行きたい。


もうこの望みも叶わない。


でも、誰の記憶にも残らず死んでいくなんていやだ。



だからにくまれ口をたたく。




みんなの記憶に少しでも残るように…。




「どうせお前もみんなと同じように俺を置いて退院していくんだろ?


俺はもう治らないから―…」





パンッ



右頬がひりひり痛む。




一瞬何が起こったのかわからなかった。




目の前には歯を強く食いしばって立っている、光流がいた。




今まで気づかなかったが、右手には包帯がグルグルとまかれている。




きっとその痛む右手で俺を叩いたのだろう。




整った顔が痛みに歪んでいる。