俺は静かになった病室で一人、ベットに腰掛ける。
フゥー
静かになるなぁ。
なんか…寂しくなるな…。
そう思った自分にびっくりした。
今までは退院していく人達を見ても、怒りや嫉妬の感情しかわかなかった。
それにしても驚いた。
光流が俺のことを好きだったなんて…。
「ん??」
ベットの上に、何か手にふれるものがあった。
「何だ??」
取り上げてみると、それは御守りだった。
どうやら手作りのようだ。
形は少しいびつで、『必勝』と刺繍でかかれている。
「…光流か??」
いびつな御守りを目の前に掲げる。
「あれっ!竜太くんは見送りに行かないの??」
「行かない。そんなガラじゃないし」
おそらく光流のベットの片付けに来たのだろう。
いつも笑顔の看護士が病室を覗き込んでいた。
「ふーん。あ!それ受け取ったんだ!!これ上手だよね」
「そうか??下手くそだろ」
「失礼ー。光流ちゃん頑張ってたよ。手、ケガしてたのに」
看護士は俺の隣に座った。
「やっぱこれ光流だったんだ」
「あれ??知らなかったの??」
「置いてあった」
「そうなんだ…」
それから看護士は、真剣な顔をして、俺に向き合った。
「ねぇ、竜太くん。
人はね、どんないやな思い出でも、どんだけ後悔しても、別れがあったらそれを美化していい思い出だって思っちゃうんだよ。
あたしは竜太くんに後悔して欲しくないな」
「??どういうことだよ」


